パリの小さなアパルトマン。
テラスから見える、打ち上げ花火。
一緒に見上げた空。
仕事から帰ってきた彼。
と、仲間。イケメン友人とその彼女(もちろん美人)。
「飲もう」と缶ビール。
全てがまぶしいくらいのキラッキラで。
切なくなった私は席を立つ。
この場所に私はとても不似合い。
ひとりで見上げた夜空には。
絵の具で適当に塗ったような月。
未完成な形がぽっかり私を見下ろしてくる。
どっぷり落ち込んで戻ったら。
おしゃれな集いは終わってて。
彼は、あの小さな部屋で静かに寝息をたてる。
ちゃんと、わたしの場所、あるやん。
無防備な寝顔がたまらなく愛おしくて。
そっと潜り込んだ背中を。
寝ぼけながら引き寄せ…
引き寄せ…
ら れ る
と感じた瞬間、目が覚める。
なんなん?
オッキロ♪オッキロ♪ 鳴り響くアラーム音。
ねぇ。
なんなん?
illust : Haru*